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「これは、呪なんだ」 彼の胸に手を伸ばし、そこに刻んだばかりの魔法陣に指先だけで触れる。 「…しゅ?」 未だ状況が掴めていないという表情をする彼に、どうしようもなく胸が痛んだ。 「人が人を憎み、恨(うら)み妬みその思いはやがて呪になる」 絶望させはしない。 堕ちさせはしない。 心を折れさせはしない。 守りたい、と。 そう思ったんだ。 その為なら…君の為になるのならば悪役だって演じてみせる。 そしてそれを君は、知らなくて良い。 「呪いだよ」 君が生きる目的をあげるから、どうか憎んで。 「段々と人じゃなくなる呪い。 たくさん苦しんでね、タキ」
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