死神の演説

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マックスは看守棟でカメラを見張っていた。 「おはよう」 テリーがやって来た。 「おはようございますっ」 「モニターとにらめっこ中だな」 テリーがにやけながら隣に座る。 「慣れたか?」 「はい、大分」 「そうか、まあ楽で良い仕事だよ。モニター見て、食事風呂入れてこの給料だからな」 「そうですね」 「そうだ、今度の休みサッカーの試合見に行かないか?何人かで行くんだが、どうだ?」 「あっ、はいぜひ」 「よしっ決まり。何人か可愛い女の子連れくからな」 「あ、は…」 「何だぁ?女の子いると緊張するか?あ、もしや彼女いないんだな真面目君」 「まあ…はい。彼女いない歴20年ってやつです」 「ははーっ。そりゃいいや、じゃあ週末新たな歴史を刻もうっ。オレにまかせとけ」 「あ、ありがとうございます」 「バッチリキメてこいよ、こういうのは第一印象が一番大事だ。そうだ、オレがコーディネートしてやるよ。そうだなぁ、お前は細めたがらーー」 「あっ」 「どうした?」 マックスがモニターを凝視する。 「消えました」
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