四月馬鹿

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4/1 『手を繋ぐことすら怖い』 春の温かい陽射しが眩しい今日 我が男子校では花見の真っ最中だ 満開の桜がそよ風に揺れ、ひらひらと桜の花弁が舞い散る 不意に陽射しが陰る 振り返り、頭上を見上げれば見慣れた顔がそこにある 「どうしたの?みんなの所に行かないの?」 その屈託のない笑顔に自然と顔が緩むのが分かる ああ、この笑顔好きだなぁと相手の顔をぼんやり眺めながら思う 「トオル?」 「あぁ…ちょっと休憩。騒ぐの疲れちゃった」 そっか、と言って俺の隣に腰を下ろすと沈黙する そのまま暫く何も喋らない けど、気まずくなるワケでも話題がないワケでもない 「…」 「…」 チラッと相手の方を見れば、向こうもこちらを見ており思わず2人して吹き出してしまう 「ふふ、何かしおらしいトオルって変だね?」 「なんだとー!失敬な!俺はいつだって大人しいじゃん」 関を切ったかのように喋り始める 何も考えなくても言葉が出る 自然と表情が綻ぶ でも、このままでも良いのかと違う自分の声が聞こえる このまま曖昧な関係で良いのかと問われる 『お前はこのまま友達以上恋人未満で満足なのか?なぜもっと踏み出さない?』 分かってる 自分が現状に満足していること 今の関係が心地よいこと そして、すぐ側にある律の手を繋ぐことすら怖いこと それぐらい分かってる トオル→律
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