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尚紀とオレは、お互いに自分の正体を明かした。
そういうことをすると同時に、今までと同じように接することはできないと分かっていたはずなのに……。
尚紀は今でも、『COLOR』が大好きだって言っている、なんて決まっていないって分かっていたはずなのに。
今までの尚紀はウソかもしれないのに。
そんなの、頭の隅では分かってたはずなのに。
変な期待がオレの心を突き動かす。
尚紀はため息を深くつき、髪をかき上げた。
「…『COLOR』の中では、瑠依しかオレの正体知らないんだろ?だから、別に『COLOR』の前でソイツらの歌を歌ったって支障は無いだろーが」
すっかり、ナオの口調になった尚紀。
「…そうかもしれないけどさ。オレがいるんだから当てつけかって思うじゃん」
「…あの時は、いつもと変わらない“尚紀”を演じていたんだから、それはしょうがないだろ?実際に『COLOR』達は、“尚紀”がソイツらを好きだと知ってんだからさ…」
「そうかもしれないけどさ」
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