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「やめろよ、尚紀。見てるコッチが恥ずかしすぎる」
そう言うと、しぶしぶ踊るのをやめた。
朝から踊ろうとするその神経が分からん。
いや、朝じゃなくてもこっちがやだけど。
オレらは2人並んで学校に着いた。
普通科と芸能科の玄関は違う為に、途中で尚紀と別れる。
「元気でやっていくのよ。今日もお元気で…」
ハラハラと涙を流しながら、ハンカチを持って振る、どこかの映画の見送りシーンのよう。
なぜか、ナ●シカビジョンに見える。
...いつもの尚紀だ。
この前の眼光が鋭い尚紀ではない。
...相変わらずよく分からないやつだ。
尚紀と別れ、いざ自分の昇降口に入ろうとすると…これがまた、ひと苦労。
芸能科の玄関には、普通科の女の子の大群がたくさんある。
オレが普通科からいなくなった今、面倒くさいからという理由で“例の警備員”は誰も来ていないらしい。
それはどういうことなんだろうか。
いつもよりもパワーアップした女子軍団が、そこにはあった。
慣れないから、あそこ通るのがイヤなんだよなぁ。
なんか、こう…。
女の子達が、獲物を狩る獣みたいな視線を送ってくるから。今までとは大違いだ。
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