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オレが昇降口付近に行くと、待ってましたとばかりに女の子達に囲まれた。
ギュウギュウと体を押してきて、身動きすらとれない状況にたたされる。
キャーキャーと甲高い声が響く中、耳を塞ぐこともできずに、ただ突っ立ったままだった。
すると、すぐ後ろから人の気配がした。
『キャーキャーキャーキャーうるさいったらありゃしない。こっちの耳が潰れちまう』
よく通る声。しかし、どこか体に響くような、そんな中性の声。
不満を吐いているのとは思えないぐらいの、心に染み込む声だった。
後ろを振り向くと、見慣れた顔。
端正な顔立ちに、金髪のツンツン髪。ピアスの穴をいっぱい空けてそうな印象。
化粧はしていなかったが、紛れもなく、V系路線で人気のSAKU(サク)だった。
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