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「おい。やめろって。生肉がなんだ!腹こわすぐらいだろ!」
とか言いながら、桃は尚紀が作ってきた弁当に入っていた生肉を、尚紀の皿にてんこ盛りに盛る。
生肉を目の前にした尚紀は、さすがの量にヒクヒクと口端を動かすが、知ったことはない。自業自得だ。
盛り上がってきた花見の場所に、風が吹き、サクラの花びらがブワッと舞い上がった。
「うわーっ!!上昇気流だぁーっ!」
…うーん。なんか違う気がする。
尚紀のアホぶりには慣れてきたのだが、どうもまだ免疫はできていないようだ。
お弁当も食べ終え、ヒマに浸っていると…。
後ろの方から、ザワザワとざわめきが聞こえてきた。
「なんだろ?めっちゃ人集まってない?」
「ほんとね、ナナ。…腹踊りでもしてるんじゃないかしら?」
その人だかりの中から途切れ途切れに聞こえる声。
…その声には、少なからず聞き覚えがあった。
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