~美への憎悪と憧れ~

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「お、お前美鈴ちゃんに何するんだよ!」  怒りの声を上げたのは先程美鈴に習うように泰子の悪口を言っていた男子。  その横っ面にむけて肉厚の掌が叩きつけられた。  ビンタ等と生易しいものではない。  顳かみも耳もほっぺたも一撃のもとに打ち付け、そしてその衝撃で男子生徒の鼓膜をぶち破ったのである。  教室内にざわめきが起きる。  女子の啜り泣く声も聞こえた。  美鈴にいたっては、先程までの強気はどこにいったのか、上半身だけ起こした状態で小刻みに身体を震わせ上下の歯をがちがちと鳴らしていた。  
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