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教室内にはざわめきが起きている。
「松木せんぱ~い! ハッピ~バレンタイン!」
泰子はかつての美鈴の感に触る声色を真似るように叫び揚げ、その手に掴んだ木偶人形を力任せに放り投げた。
ソレは、今度はしっかりと放物線を描き淀みなく松木の机の上に落下した。
衝撃により横倒しになる机。
中身が散乱し、落ちてきたソレも床に転がる。
辺りには悲鳴。
松木は、いま目の前に投げつけられたソレがなんなのか暫く理解できず惚けていた。
だが、その身体から溢れおちたであろう携帯電話が松木の記憶を呼び起こす。
「美、鈴? これ――美鈴、なのか?」
広げた両手をわなわなと震わせ松木が呟いた。
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