~美への憎悪と憧れ~

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「な、なんでこんな……美鈴――なんで……」  小さな身体を抱き寄せ、涙ながらに訴える松木。  そして直様首を後ろにめぐらせ、睨みつけるように。 「なんなんだ! 一旦誰だてめぇは! なんで美鈴にこんな事を!」  憎しみの表情で松木は叫び上げる。  すると泰子はその口を大きく広げ、 「いやだぁ~。私の事忘れちゃったの? ま・つ・き・せ・ん・ぱ・い」 と嫌らしい笑みを浮かべた。  その言葉と声から松木の脳裏に漸くその姿が思い浮かんだ。
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