~美への憎悪と憧れ~

42/62
前へ
/371ページ
次へ
 泰子が登校していた事を、母が知ったのは、中学校の教師から家に電話連絡を受けてからだ。 「お宅の娘さんが校内で生徒二人に暴行を加え大変な事になっている。とにかく直ぐにでもこちらに来て欲しい――」  電話口で聞かされた知らせは悪魔の調べ。  泰子の母の頭は真っ白になり、受話器を強く握り締めたまま茫然自失となってしまっていた。  その後、自分がどのような対応をとったのかさえ曖昧なまま母は受話器を台に置いた。  只、確かなのは直ぐにでも学校へ向かわなければ行けない事。  そして恐らく泰子が今回起こした事件はきっと前回等比べ物にならない程のものである事であろうという事だ。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

804人が本棚に入れています
本棚に追加