~美への憎悪と憧れ~

44/62
前へ
/371ページ
次へ
 警察署には、当然泰子の母親も保護者として同伴する事となった。  そしてそこで母が警察官から聞かされた話は、母の想像のはるか上を行く凄まじいものであった。  話によると、泰子は二人の生徒に暴行を終えた後、駆けつけた教師たちに先ず取り押さえられた。  だが、この時泰子はまるで気が抜けた炭酸のように大人しいもんであったらしい。  一年の時のように別室に連れていかれ、校長も交えた教師たちから泰子は、どうしてこのような事をしたのか問い詰められた。  だが泰子は質問に答えることは無く只俯いていた。  この時、教師の一人が被害者の生徒も含めた保護者の家にそれぞれ連絡を取っらしいのだが――  そこで問題になったのは真っ先に駆け付けたのが美鈴の母親であった事だった。  美鈴の母親が訪れた頃には美鈴も松木も既に救急車で搬送されていた後であったが――    連絡を取った教師は、その事を母親に伝え忘れていたのである。    
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

804人が本棚に入れています
本棚に追加