~美への憎悪と憧れ~

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 当然の如く警官達は一斉に泰子を取り押さえにかかる。  だがこの時の泰子は相当往生際が悪かったらしい。  向かってくる警官を躊躇いも無く投げ飛ばし、殴り、体当たりをかましとにかく暴れまわった。  しかし警察側にも意地がある、いくらなんでもたった一人の女子中学生を取り押さえられませんでしたじゃ面目も立たない。  警官達の中でも特に屈強な男も数名まじえ何とか泰子を取り押さえる事に成功したのであった。  そして警官の一人が泰子の腕に手錠をかける。  皆の心がほっとなった瞬間であった。  だがその後の泰子の行動は警官たちを大いに驚かせた。  なんと泰子は掛けられた手錠をその場で瞬時に引き千切ったのだ。 「いやぁ。あの時は流石に言葉を失いましたよ」  泰子の母に話を聞かせていた警官から笑みがこぼれた。  きっと母親を気遣っての事だったのだろうが聞いてる方からしてみればとても笑える話などではないであろう。 「その後の事はお母さんもご存知の通りです。いやぁしかし女子中学生一人にあんなに何個も手錠を掛ける事になるなんて前代未聞ですよ」  言って更に大口を広げ笑う警官。
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