~美への憎悪と憧れ~

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 泰子はいつの日からか、画面に綺麗な芸能人等が映る度に烈火のごとく怒り暴れだすようになっていたのだ。  おかげでテレビ等は何台壊されたか数え切れない程である。  今では家計の支障を少しでも減らそうとアナログテレビにチューナーを付ける程度に留めていた。  頼まれた雑誌を与えるのも気が抜けない。  その中に少しでもアイドルのグラビア等載っていた日には、やはり猛獣のように暴れまわる。  だから母は常にそういった写真や画は、泰子に渡す前にハサミで切り取るようにしていた。  泰子が暴れるたびに壁に出来た穴も、最初こそ直していたがもうそれも諦めていた。  
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