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泰子は女の指が示す方向をみやる。
そこにあったのは泰子のタブレット端末だ。
「あんたが――やっぱりあんたがあたしの大事なパーツを奪ったのね!」
唇をぎりりと噛み締める泰子へ、女は不敵な笑いで返す。
「そうね。あれは私がやったのよ。だって今の貴方にはあまりに不釣合だもの。でも可笑しいわよね。美に全く興味が無いと言って置きながら仮想世界では美を追求するんだから――」
泰子は言葉も出ず、ただ女を睨みつける事しか出来ない。
「でも――本当は違うんでしょ? 貴方はただ諦めただけ。始めて好きになった異性の為に一度は努力したけれど無駄に終わった。元が駄目なら何をしても無駄だって――」
「あんた――どうしてそれを……」
泰子の顔に動揺が走る。
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