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瞳の中で何かが壊れた気がした。茫然自失で立ちすくむ彼女は旗からみたらまるで亡霊そのものだったかもしれない。
「美しくなりたいですか?」
瞳は最初それが誰に向けられて放たれた言葉か判らなかった。
しかし再度同じ言葉が自分の背中側から聞こえてくるのに気付き、瞳はゆっくりと声のする方へ振り返った。
「美しく――なりたいですか?」
三度目の言葉は少し貯めるように……そこには黒スーツ姿で顔に同じく黒のサングラスを掛けた女性の姿があった。
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