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泰子は巨大な身体を一生懸命屈め、アタッシュケースを視認する。
ケースは左右の小さなストッパーで、蓋を閉めているようで、それを外す事で開けることが出来そうだ。
泰子はストッパーに指を掛けた。
鍵が掛かっている様子は無い。
ストッパーが外れるカチッという音が泰子の耳朶に響いた。
泰子は蓋をゆっくりと両手で持ち上げる。
「これは――?」
思わず息を呑む泰子の視界に飛び込んで来たのは――一台のチェーンソー。
少々使い古された感はあるが、まだまだ現役といった所で、圧倒的な存在感を醸し出している。
泰子の手が自然と伸びた。
ゲームの世界ではいつも奮っていたが、現実に触るのは初めてであった。
だが初めて触るにしてはその姿は、妙に様になっている。
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