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逆光のせいで人相は把握できないが、サラサラとなびく長い髪と華奢な足がミニスカートから伸びているおかげで、相手が女子高生だということがわかる。
ブレザーのポケットに両手を突っ込みながら歩く女の姿を見て、男子高生たちは固まった。
強張った顔に恐ろしさをにじませ、女子高生が近づいて来るのにあわせるようにじりじりと後ずさる。
「お、おい、来るぞ……」
戸惑った声で誰かがそう言ったが、追い詰められた三人はなすすべもない。
お互いの顔が見えるほどの距離まで来ると、女子高生は立ち止まった。
長い前髪をたらし顔の大半を隠してはいても、歪んだ口元のおかげで笑っているのがわかる。
「お前ら、仲間置いて逃げるとはなかなかいい性格してるな」
低く、凛とした女の声が路地に響く。
三人が何も答えないでいると、女子高生が言葉をつづけた。
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