第4章

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大小様々な雲が浮かぶ青空を見上げながらそんな事を考えていると、不意につい先ほどまで誰もいなかったはずの背後から声をかけられた。 「ういっす、真面目に巡視してるか新入り君よ」 ここ数日で何度も聞いた気がする言葉に若干げんなりしつつ振り返ってみれば、そこには傷だらけの赤い騎士甲冑を身にまとった白髪の青年が笑みを浮かべて立っていた。 「……こんな真っ昼間からサボっているあなたに言われたくありません」 「はっはっはっ、残念ながら部下の仕事ぶりを確認するのも上司の立派な仕事だぞ?」 げんなりした様子を隠そうともせずに文句を言ったオレに対し、目の前に立つ青年はしてやったりといった表情で言い返してきた。 だがここ数日で似たようなやり取りを何度も繰り返しているため、次にオレが目の前の青年に言うべき言葉はすでにわかりきっている。 「その台詞はご自身の机に置いてある山のような書類を全て処理してから口にしてください」 「……キョウモソラハアオイナー……」 数秒ほど前までの勝ち誇っていた笑みは何処へやら。 巡視へ出る前に見かけた彼の机の上の惨状を指摘した直後、青年はあからさまな棒読みで話を逸らしに入った。 その姿からは威厳なんてものが微塵も感じられず、目の前にいるこの青年が本当に『騎士団長』なのかとついつい疑ってしまう。 しかしこんなところで幾ら疑ったとしても青年―――ブレア=マルギースがこの国を守護する騎士団の双頭の片割れであるという事実は変わらない。 そしてブレアに対する警戒を解きそうになっていた自分を心の中で叱咤しながら再度認識する。 ―――彼がオレ達の目的の前に立ち塞がる最大の障害であるという事実を。
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