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何処とも知れない場所で互いに仮面で顔を隠した状態で戦っているオレと『誰か』。
そこで幾度となく繰り返されるオレと『誰か』の剣戟の応酬。
次第に両者ともに大小様々な傷が増えていくのだが、オレと『誰か』は息を荒げながらも互いに敵を殺すために死に物狂いで剣を振るう。
そうして徐々に苛烈さを増していく攻防。
永遠に続くかとも思われたこの戦いも、とあるきっかけをもってあっさりと終わりを告げる。
僅かな隙を突いて振るったオレの剣が『誰か』の仮面を断ち、それによって周囲へと晒される仮面の下にあった『誰か』の素顔。
その素顔を見た瞬間にオレは何故か動きを止めてしまい、『誰か』にとっては最大の好機を生み出してしまう。
当然敵であるオレを殺すために『誰か』はその好機を逃す事無く、動きを止めてしまったオレの心臓へと剣を突き立てた。
それから数秒もしないうちに全身から力が抜けていき、同時にゆっくりと暗転していくオレの視界。
けれどもオレの中には『誰か』に対する怒りや恨みといった感情は一切無く、ただただひたすらに後悔の念が広がるだけ。
徐々に暗闇に包まれていくオレの視界へと最後に映り込んだのは、仰向けに倒れたオレを見た瞬間に驚愕の表情へと染まった『誰か』の顔。
それを見たオレは『誰か』に何かを告げるために口を開くが―――オレの言葉が『誰か』に届く事は無く、視界は完全な暗闇へと包まれた。
最後にオレが『誰か』へと告げようとした言葉。
それは―――
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