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築三十年を越えた我が家の階段を上り、わんぱく坊主どもが眠っている大部屋へと入る。
「……誰一人として起きてないのかよ……」
部屋へと入ると同時にオレの視界に入り込んだのは、起床時間が来ているというのに皆仲良く眠っている弟達の姿。
……まぁ、いつもの風景のため別段驚くような事でも無いのだが。
とりあえずまずは比較的すんなりと起きてくれる自慢の二人の妹を揺り起こす。
「ルカ、ミリー、朝だぞ」
「ふにゅぅ……もう朝なの……?」
「……もうちょっとだけぇ……」
「ほら、早く起きな。
下で爺さんがご飯準備して待ってるぞ」
「ご飯食べるぅ……」
「わたしもぉ……」
よし、これでまずは二人起きてくれた。
とは言ってもこんなに手早く起きてくれるのはルカとミリーの二人だけであり、なかなか起きてくれない他のわんぱく坊主どもが問題なのである。
「一、二、三、四……うん、見事に誰も起きていねぇな」
ルカとミリーが寝惚け眼のまま部屋から出ていくのを眺めつつ、残っている布団の山を数えていくオレ。
いつもならば四人とも盛大に布団からはみ出して眠っているというのに、今日は何故か四人の中で誰一人として布団からはみ出る事無く布団の中に包まっているせいで大きな山が四つ出来ている。
……怪しい、妙に怪しい。
目の前に存在する四つの布団の山を見て怪しいとは思いつつも、このまま時間を無駄にしてしまって食堂で待たせている爺さんと妹達に申しわけない。
という事で怪しみながらも一つ目の布団の山に手を伸ばした直後―――四つの布団の山が一斉に跳ね上げられた。
「覚悟しろアニキィィィ!!」
そして一番近くにあった布団の下からは、そんな言葉を口にしながらわんぱく坊主一号が木刀片手に姿を現した。
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