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「不意討ちなのに声を出してどうすんだよ……」
……ただなんとなくこう来るのではないかという予想はついていたため、一切合切焦る事無く四本の木刀を順々に捌く。
それによって自信満々だったわんぱく坊主達の表情は一転して青褪め、四人揃って一斉に攻撃から逃げへと作戦を変えた。
しかしそれをわざわざオレが逃す事は無く、リーダー格であるわんぱく坊主一号―――レントの首根っこを掴んで動きを止める。
「くそぉぉぉ!!
離せ!!離せよシエルのアニキィィィ!!」
「いやいや、今から飯なんだから逃がすはずがないだろうが。
ほら、爺さん達を待たせてるんだから早く下りるぞ」
オレの手から逃れようと木刀片手に暴れるレントだったが、如何せん体格が小さいので無駄な抵抗にしかならない。
……まだ九歳なんだから当たり前と言えば当たり前なんだが。
兎にも角にもリーダーであるレントを捕獲した事により、大人しくなった三人も連れて階段を下りる。
歩く度にミシミシと嫌な音が鳴る階段をわんぱく坊主達と下りると、食卓にはすでに質素ながらも色とりどりな料理が並んでいた。
「ほら、お前達はさっさと顔を洗ってこい。
早くしないと先に飯を食べちまうからな?」
「ラ、ラジャ―!!
お前達早く行くぞ!!」
「転げんなよー」
手を離すなり一目散に走っていくレント達を他所に、オレもキッチンで手を洗って食卓へとつく。
……洗面台の方から聞こえてくる何かが崩れる音なんて気にせずに。
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