さくら散る頃

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パタンと冷蔵庫を閉めて 熱さまシートを私に差し出す。 「自分で貼れるだろ?」 私のために探してくれていたんだと思うと、なんとなく嬉しい。 こくりと頷いて彼から受け取る。 …鏡がないと上手く貼れない。 今更ながら気付く、馬鹿な私。 悪戦苦闘していると、見かねたのか 「ほら、貸して」 と、熱さまシートを私から奪う。 「髪上げるよ?」 と私の前髪に触れようとする彼。 「ま、待って!やっぱり自分で…」 なんとなく恥ずかしい。 「出来ないんでしょ?」 そうなんだけど、やっぱり恥ずかしさが勝って 「出来ますよ!」 と言うと 「はいはい」 と軽くあしらって私の前髪に触れる。 顔が赤くなるのが分かる…。 もう諦めておとなしく貼られる。 「貼るよ?」 「あ、おねがっ…きゃ!冷たい!」 熱さまシートの冷たさにびくっとすると 「冷えピタですからね」 と、苦笑いされる。
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