さくら散る頃

5/15
前へ
/21ページ
次へ
「…だって冷たい」 少しむくれると 「わかったって」 と、また苦笑いされる。 それから、病人は寝てろと私の手をひきベットへ。 横になると布団をかけてくれる彼。 「…先輩。手を出しちゃだめですよ?」 「俺が?あんたに?」 こくりと頷くとけらけら笑われる。 「大丈夫。俺そんなに困ってないから」 女の子にね、と付け足し 私の髪を一滑りさせた手でカーテンを閉める。   …………つまり私には興味がないと? まあいいけどさあ…。 「…ありがとうございます」 さっきのが悔しかったから 小さな声でお礼を言った。 それから目を閉じた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加