さくら散る頃

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桜の花が少し散り始めた頃。 朝から止まない雨が 残った花たちを揺らす─── 「…響子さん。頭の痛さが異常です」 こめかみ辺りがズキズキ痛む。 急に下がった気温のせいで  風邪を引いたのかもしれない。 「保健室行ってこい」 「はい…」 そろりと保健室のドアを開ける。 「せんせ…あれ?」 静かな保健室に響くのは雨の音だけ。 先生は出ているみたいだ。 入ってすぐのソファーに腰掛ける。 勝手に体温計を借りて熱を計る。 ─────────37.8℃ どうしようか…。
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