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「・・・ん」
何か、重要なシーンだった気がする。夢―――だったのか。
朝日と鳥たちの声に目を覚ました。なんて言ったら優雅なお嬢様のような起床だが、ただ朝がきて目が覚めただけだ。
懐かしい夢だったなぁ。
昔、父さんと暮らしていた頃の夢。
あの頃は父さんが始末屋葉月家最後の当主とされていた。しかし、最後の当主となったのは葉月葉一だった。
一見するとどこにでもいそうな、オッドアイが特徴の十七歳の女の子だが、その実は裏の第一線で活躍する始末屋だ。依頼されれば、例え人であろうと始末する。
今のところ人の始末依頼は来てないが、舞い込む依頼は全て完璧にこなしてきた。
「葉一さま」
ドアをノックする音と、若い女の声がした。
「ああ、開いてるよ」
「失礼します」
入ってきたのは、透き通るような金色のロングヘアーが特徴の二十四歳の女性だった。身長は158㎝で青い瞳がよけい日本人離れした雰囲気を持たせているが、一応日本人。普段着はいつも愛用の和服姿で、体重は極秘事項らしい。
「おはよう、金。今日は珍しく早いね」
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