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2. 天才少女の悩み
「ええ、そうです。その猫を一匹。なるべく大人しい子をお願いします」
「大丈夫ですよ。大人しいと言いますか、非常に賢い子猫がいますのでその子をお届けいたします。子猫でもよろしいですか?」
「子猫ですか・・・」
子猫のほうが愛着も湧いていいかも知れないな。
「分かりました。その子猫をお願いします」
「ありがとうございます。ご希望の日時などはございますか?」
「今日の十時までにお願いします」
「はい・・・あのう、『今日の』十時。ですか?」
「そうです。今日の十時です。無理は承知ですが、その分支払ははずみます」
無理は承知。というのも、依頼しようとしているのは、麓から車で二時間のところにあるペットショップだからだ。というのも、その猫を扱っているところでなおかつ配達が可能だったのがこのペットショップだけだったからだ。
「お願いできますか」
さすがに難しい、というか無茶な注文なだけあって、電話の向こうではかなり悩んでる様子だったが、しばらくして、
「分かりました。出来る限り早くお届けいたします」
と返事が来た。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします」
電話が終わると同時に、元気の良い金の声が聞こえてきた。
「はーい。いらっしゃいませ、一名ご来店でーす」
「おっと、もうお客様が。急ぎますか」
早足で店内に入ると、そこには小さな女の子が真ん中のテーブル席に一人陣取っていた。
「お待たせしました」
「あ、ちょうど良かった。金、後は白にやってもらって仕込みのほうお願い」
「仕込みですか? それならもうやりましたけど」
「何人分?」
「五十人分は」
「じゃあ追加で百人分お願い出来る?」
「百人分? ちょっと多くないですか?」
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