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「・・・こりゃ驚いた。まさかお嬢ちゃんがあの吉本早百合とは・・・」
「夏休みで避暑に来たのかな?」
「ええ、まあ・・・。あの」
「どうしたの?」
「しばらく、ここに通ってもいいでしょうか」
「それは構わないけど、そういえばご両親は?」
両親のことを聞かれ、ぐっと黙るが、決意したように話し出した。
「実は、両親には内緒で来ました。その、依頼をしに」
「依頼っていうと?」
「始末屋の葉月という方に依頼があって来ました」
「はあ、やっと終わったー」
若干シリアスな雰囲気の中を見事壊して金が戻ってきた。
「あれ? 皆さんどうしたんですか?」
「えーと、じゃあとりあえず話を聞こうかな。金、依頼だよ。準備して」
「依頼ですか!? あわわ、ちょっと待ってくださいね!」
金が慌てて準備をしに奥へ行くと同時に、ペットショップの配達がやってきた。
「ちわー。ご注文のお届けでーす」
「ご苦労様です」
「あ、今朝話してた猫? もう届いたんだ」
配達員の持っているゲージには、かわいらしい子猫が入っていた。
「代金のほうは小切手で申し訳ないのですが」
「あ、はい。・・・こんなに!?」
「急がせてしまったお詫びです」
「いやいや、それにしたって・・・」
「どうぞ、お納めください」
「はあ、すみませんね。それではまたのご利用お待ちしてます」
よほど金額が大きかったのか、戸惑いながらも受け取っていった。
「子猫・・・?」
「ほぉ、猫を飼うことにしたのか」
「はい。金に言われたら私も気に入っちゃって。早百合ちゃん、猫好き?」
「え? あ、はい」
「今はまだ環境に慣れないから借りてきた猫みたいになってるけど、三日もすれば元気になると思うんだ。そしたら遊んであげてね」
「はい」
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