2. 天才少女の悩み

3/5
前へ
/41ページ
次へ
「・・・こりゃ驚いた。まさかお嬢ちゃんがあの吉本早百合とは・・・」 「夏休みで避暑に来たのかな?」 「ええ、まあ・・・。あの」 「どうしたの?」 「しばらく、ここに通ってもいいでしょうか」 「それは構わないけど、そういえばご両親は?」  両親のことを聞かれ、ぐっと黙るが、決意したように話し出した。 「実は、両親には内緒で来ました。その、依頼をしに」 「依頼っていうと?」 「始末屋の葉月という方に依頼があって来ました」 「はあ、やっと終わったー」  若干シリアスな雰囲気の中を見事壊して金が戻ってきた。 「あれ? 皆さんどうしたんですか?」 「えーと、じゃあとりあえず話を聞こうかな。金、依頼だよ。準備して」 「依頼ですか!? あわわ、ちょっと待ってくださいね!」  金が慌てて準備をしに奥へ行くと同時に、ペットショップの配達がやってきた。 「ちわー。ご注文のお届けでーす」 「ご苦労様です」 「あ、今朝話してた猫? もう届いたんだ」  配達員の持っているゲージには、かわいらしい子猫が入っていた。 「代金のほうは小切手で申し訳ないのですが」 「あ、はい。・・・こんなに!?」 「急がせてしまったお詫びです」 「いやいや、それにしたって・・・」 「どうぞ、お納めください」 「はあ、すみませんね。それではまたのご利用お待ちしてます」  よほど金額が大きかったのか、戸惑いながらも受け取っていった。 「子猫・・・?」 「ほぉ、猫を飼うことにしたのか」 「はい。金に言われたら私も気に入っちゃって。早百合ちゃん、猫好き?」 「え? あ、はい」 「今はまだ環境に慣れないから借りてきた猫みたいになってるけど、三日もすれば元気になると思うんだ。そしたら遊んであげてね」 「はい」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加