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高校生になって、二度目の春が訪れた。
教室の中は騒がしく、グループで話している生徒が目に入る。
『ね~。昨日、会長様がね――――』
『えー、本当!?』
だが俺は違う。俺は椅子に大人しく座っており、全てを悟ったかのような顔で誰とも喋らない。
まるで大きな山のように、俺はビクとも動かない。そう、それはまるで動かざること山の如し、である。
そう、例えこの学園が女人禁制の男子校であったとしても、俺は武田信玄の如く動じない。
ぼっちだろうがなんだろうが構わない。俺はもう、動じない。
そもそもどうしてこの俺が、このアッー、な学園に入学したのか。
事の発端は中学三年生の3月。
◇◇◇
「おい龍影」
「んあぁ?」
入学直前の春休み。ソファに寝っ転がってどう森をしていると、姉である神崎龍華が話かけてくる。
この暴力だけが取り柄の腐女子ニートが俺に何の用だろうか。
「お前、私立聖フェニックス学園に通う事になったからよろしく」
この姉は何トチ狂ったことを言ってるんだろうか。
「いや、あの……ごめん、何を言ってるか理解できないんだけど。詳細キボンヌ」
「お前、ついに幼児並みの知力に……」
「その残念そうな顔で見るのを止めろ! 意味は分かってんだよ! 何でそんな厨二な高校にいかねーと駄目なんだよ! つーか俺もう、鳳凰高校合格したし」
なんだそのぼくのかんがえたさいきょうのがくえん的なネーミングセンスは。創立者出て来い。
「あ? ああ、取り下げたよ。そんな底辺の高校なんて」
「ごめん。今姉が人の人生をぶっ壊したかのような発言が聞こえたんだけど」
「辞退した。おk?」
「おk、なんて言えるわきゃねえええええだろうがよおおおおあだだだだだだだだだだだだだだだだだ!! ごめんなさいお姉様!」
実の弟に容赦無いヘッドロックをぶちかましてくる姉。
貧乳だから絶壁が当たって頭が砕けそうだ……!
「ったく、とりあえず行け。学生時代のコネ使ってねじ込んだんだから」
「その無駄に広いコネを就職に使えよ……!」
「嫌よ。働くのめんどい」
死ねばいいのに、このクソニート。
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