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潮風が頬を撫でる。
まだ春先だというのにこの町はとても日差しが強く、暖かいというよりも少し暑い。
港町というからもっと賑やかかと思えば漁師達は皆海へ出払っており、どちらかと言えばお祭りの後の静けさの漂う印象だった。
漁師達が出払っているだけではなく、田舎町だからという事もあるのかも知れない。
潮風にやられて鉄で出来た看板や店先に置いてあるサンプルの防具は錆びており、より一層寂しげなイメージを強くしていた。
※『とりあえず、この辺で良いんじゃない?』
めちゃくちゃスカートの丈が短い女の子が歩みを止めると、一緒に歩いていた小さな女の子へと視線を移した。
※『そうですね……ここなら私の【マナ】の波長とも相性が良さそうです』
ベレー帽のような被り物をした小学生くらいの女の子は、ウェストポーチからチョークのような物を取り出すと地面に魔方陣のような丸い円形に見た事もない文字や絵を描いていく。
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