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「やはり無理か……ならば屠るのみ……干上がらせてやる」
袖から二枚、呪詛が書き込まれた札を取り出すとメサイアが止める。
「クライは対策済み……クライのエネルギーが水面に障壁を……跳ね返る」
「……ふん! 小賢しい……!」
次々と飛来してくる水の礫をカポエラとブレイクダンスを混ぜた逆さ回転しながらブレードで斬り伏せるメサイア。
着物の裾すら濡らす事を許さず、予測不能の水弾から忌禍を護衛し続けた。
その間、忌禍は槍を強く持ちながら考える。
だが、マジシャンは敵、悠長に待っているわけが無い。
その刹那、冷たい飛沫に感覚を持っていかれつつあるメサイアの感覚が言葉に出来ない電撃が走った。
小雨に打たれながら、首に冷たい金属を当てられたようなジメリとした危機。
目頭がチリチリする。
全ての世界がスローに。
気配がする逆さの世界の下を見上げた。
「忌禍の君! 水の爆弾が下降! 」
視野が狭まっていた忌禍に警告する。
それに気付いた忌禍は札を取りながら上空を見上げた。
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