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炎の幽鬼、トーチを先頭とする幽かな軍勢がレックスと真正面から衝突した。
弾ける炎、砕ける岩石。
巨大隕石の爆発を連想させる激突の瞬間だった。
大気を震わせ、心臓を貫かんまでに轟く爆発音が船上で炸裂した。
敗北したのは陸の旧王だった。
AーRexの、レックスの体は半壊し、七色の光を体内から放ち、巨体が宙を舞う。
欠片と共に海に投げ出され、激しい飛沫を散らして水底に沈んでゆく。陸の旧王は戦火の海、仄暗い水底に没した。
しかし、そこにAーRexはいない。
「せめてお前に人間の拳を浴びせるううううぅぅぅぅっ!!!」
A-Rexはレックスがランタンによって殴り飛ばされた刹那、敗北を悟り、幽鬼に飛び掛かっていたのだ。
単身、AーRexはトーチの炎の中に突っ込み、己の武器をかなぐり捨て、堅く結んだ拳を顔の横に並べていた。
――暑さが
――熱さが
――我が身を焦がす
対するトーチも地面に足を据え置いてランタンを手放し、腹の横に七色に燃える拳を並べてその時を待つ。
その目に雑念は一切無い。
「この七色の煌めきが貴方を彩る最後の色となるでしょう。」
「吾が魂! 野生の遺伝子をお前に捧げてやる!!」
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