phosphorescent《燐光》

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「フンッ……最後にこのような“人間”に打ち負かされたなら……満……足……。」 その言葉に一瞬、トーチの目が見開かれる。 しかし答えを求めようにも、静かに佇むトーチの前で、野生を求めた軍人は最期を迎えていた。 「……やはり気付いていたのか。」 思い返されるのは五分に掛けて続いた攻防の時。あの時、確かにこの軍人はトーチを観る目が変わっていっていた。 落とした鎖を拾い上げて、囲んでいた炎を散らす。 (いったい何処を見て人間だと判断したのやら……今は気にすることもないか。) 眼下にて倒れ伏す敗者、ここから先は人生の終点、そして回帰。最後にトーチは短く何かを唱えると踵を返し、亡骸を背に去り行く。 「さようなら……送魂の日には貴方を見送ろう。」 刹那AーRexの体が炎上、激しい轟音と共に爆発する。敵陣にて死ぬ事を前提としたものだ。この恐竜の奏者は自陣にて死ぬ事を許されない人物だったのだ。 兵士の抱く爆弾、最後の置き土産は誰を殺す事も無く爆発した。 それはある意味、この一人の兵士の願いだったのかもしれない。 トーチは炎を散らしながらブリッジへと、歩を進める。途中立ちはだかる敵は容赦なく最期の絶景を魅せ、屠る。 そしてブリッジへの扉へと辿り着いたトーチはロックを無視して無理矢理こじ開ける。 ブリッジにいた兵士全員が恐れおののき、その場は恐怖に支配された。 帰る道など、いずれ忘るる。
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