phosphorescent《燐光》

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どんなに抵抗しようと、貴方達は結局吾が炎に包まれてしまう。 光の無い眼差しで艦橋内の廊下を歩き、狭い通路でランタンの鎖を振り回す。 しかしそれもほんの少しの間。直ぐに管制室に辿り着かれてしまう。 「な、何をしているっ!? さっさと殺せぇっ!!」 視界の隅でガタガタと子供のように震える高官が宣う。しかしそれはさっきからやっている。 兵士達がフリントロック式に似たピストルを構え、トーチの全身を狙い撃つ。 (フリントロック……? しかし給弾がマガジンタイプ……後で何丁か譲って頂こう。) 密かに芽生えた探究心を内側に隠しつつも、その美技は手加減もムラもない完璧なもの。 トーチの鎖が一人の敵兵に伸ばし操る。すると鎖は途中で撓み、敵兵の首に絡みつく。その瞬間、鎖の持ち主が敵兵の体を思いっきりに引いた。 「アンティークかモダンかフューチャーか……少しは統一性を持たせては?」 トーチが述べながら一人の敵兵を引き寄せ、鎖で締める。手繰り寄せたのは女性だ。その若い女性の手の甲に手を回し、持っていたフリントロックピストルを構えさせた。 肉盾の完成、後は撃つか撃たれるかだけ。 若い異性の肉盾は行動をストップさせる。 それだけでも、百戦錬磨の傭兵には充分すぎる効果であり、最高のエンドを迎えるための布石である。
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