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phosphorescent《燐光》
流す灯籠の中、一夜の限りを巡る
手から離れ 流されすぐ消えゆく灯りに魂の安寧を
罪無き命に、下ろす銀の剣、虐げられ 虚空に去り行く無垢の記憶に安らぎを。
すぐに裏切られて締め付けられた悲壮の想い今宵に鎮む。
灯りに浅く息を吹きかけ揺れる鎮魂の炎。
響く鎮魂歌は川の向こうへ長く木霊した。
黒から赤へ灯りは照らす。
誰かの夢が手を透けてゆく。
その先が 赤い地面でも淡く輝く刹那の蝋燭遙か遠くへと届くだろう。
気付かず眠る痛みの奏でに心を映す哀の高原へ祈りを。
淡く霞んだ視界を閉ざす虚無感で誰かの夢を追い求めていたとしても、鎮ればきっと縁は切れる。
黒から黒へ想いは眠るだろう。
法語 鎮魂の章
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