異世界へ

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「………………」 あたしは唇を噛み締めて俯いた。 そして、彼女から離れて壁ぎわに待機していたフェンリルの元まで行き、その毛に身を埋める。 「カヅキ…」 ナズナのたしなめる声が聞こえたが、あたしはショックでフェンリルの毛をモフり始めた。 労るように、フェンリルが尻尾であたしの体を撫でる。 「カヅキのバカ…」 グスグス泣きながら、あたしはポツリと呟いた。 『召喚主よ、あまり泣くな』 ポスポスと、あたしの体を尻尾で軽く叩く。 「うぅ…せっかくの毛皮が濡れちゃうね…ごめんなさい…」 『それは構わんのだが…』
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