異世界へ

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カヅキがドン引いた表情で言ってくる。 日本舞踊の家元の娘だったあたしは、誕生日の時、祖父に蜜柑の木が欲しいとねだった。 祖父は喜んで植えてくれたのだが…。 「実はあれさぁ、酸っぱい種類の奴でまったく食べられなかったの❗ むしろ観賞用買ってきたんだって‼ もー、お祖父ちゃんってば…あたしは食べられるのがよかったのにーっ‼」 そうなのだ。 そそっかしかった祖父は、観賞用のを買ってきて植えてしまった。 以来、その蜜柑が成る度に、我が家は蜜柑風呂をしては捨てるという、なんとも勿体ない事をしている。
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