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三月。
桜とはまた違う花が咲き、散っていく。
あたしは教室の窓から、それを眺めていた。
「シャル?」
ボーッと窓の外を見ていたあたしに、ナズナが声をかけてくる。
「ん、なぁに?」
「三年の卒業式、終わったみたいだぞ?」
「そう…」
あたしがこの世界に転生して、早一年が過ぎた。
色んな事があって、人間的に成長できた気がする。
「ねぇ、ナズナ? どっか遠いところにいこう? カヅキの世界にでも行こうか?」
椅子から立ち上がり、あたしはにこやかにナズナへ提案した。
「いや、現実逃避しすぎだろう…現実を見据えろ、現実を」
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