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まだ、クライマックスも迎えていないのに、涙腺が緩みそうになる。
オルガンの音が扉の内側から聴こえ始め、ゆっくりと開いていく。
赤いバージンロードの向こう、ステンドグラスの光を浴びて、ナズナが王族専用の衣装を着て立っていた。
右肩には朱色の短いマントを羽織り、優しげな瞳であたしを見つめている。
義父さんに腕を引かれて、あたしは一歩、また一歩と彼に近づく。
そして、彼の隣に立つと義父さんは離れて近くの席に座った。
「シャル、綺麗だ」
あたしにしか聴こえない声音で、彼は言う。
「ナズナも、素敵だよ」
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