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「では、誓いのキスを」
ヴェールを上げ、ナズナは顔を近づける。
あたしは目を閉じ、それを受け入れた。
「これにより、二人の婚姻が成立したことを認めます」
ジルベルト司祭が、皆の前で宣言する。
その言葉が終わる頃に、ナズナはあたしから唇を離した。
あたしは彼と腕を組み、出口へと向かう。
教会の入り口に着くと、幌なしの馬車が鎮座しており、それを見た瞬間笑顔がひきつった。
「え、ナズナ、これ…」
「伝統だからな…すまない、耐えてくれ」
本当にすまなそうに謝ってくる彼に、あたしは軽く横に頭を振る。
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