貴方のためなら

27/37
前へ
/1480ページ
次へ
「王家に入るんだから、これくらい平気」 「ありがとう、シャル」 彼が先に乗り、あたしの手を引っ張って乗せてくれた。 着席するとすぐに馬車が動きだし、街の方へと進路を進めていく。 「ねぇ、ナズナ? 見世物の後、市中引き回しの刑に処される人って、こんな気分だったのかしらね?」 通りから、国民が手を振ってくる。 それらにあたし達も手を振り返した。 「シャル、考えすぎだろう…」 「はっはっは…早く、引きこもりたい…」 作り笑いで手を振るあたしに、ナズナは苦笑いを浮かべた。 ようやく街を一周して、城の前に到着する。
/1480ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1007人が本棚に入れています
本棚に追加