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「ああ、混乱するのも分かるが聞け。時間も無いしの」
「じ、時間?」
おお、すげえオレ、扉に話しかけられて普通に問い返してるよ。
オレの順応力、パねえな。
「そうじゃ、あの少女を助けたいんじゃろ?」
「……っ!」
その言葉で体が熱くなる。
そうだ、犬のような奴に襲われそうになってる女の子が居た。
それを助けようと走ってた途中だった。
「思い出したかの?」
「あ、ああ……ていうか、アンタ……でいいのか?」
「儂(わし)のことはトビラとでも呼べばええ」
「まんまじゃねえか」
「まあ、そう言うな。分かりやすいじゃろ?」
「ん……ま、いいけど。それでトビラ、あの時和室にあった扉そっくりなんだけど?」
目の前にある扉は、自分が吸い込まれることになった、和室の扉と瓜(うり)二つだった。
「そりゃそうじゃよ。アレは儂じゃからな」
「何てことしてくれたんだよっ!」
いきなり吸い込みやがって、あれからおかしな体験ばかりするじゃねえか!
「しょうがないじゃろ。お主は選ばれたんじゃからの」
「選ばれた?」
「そうじゃ。よく聞け」
ふう、扉と話す光景って、下手すりゃオレって痛い奴とか思われんだろうな。
「おい」
「わ~ってるよ」
聞いてやろうじゃないか。
オレがこんなところにいる理由をな。
「うむ。まずは儂のことを説明するかの。儂は時空の扉じゃ」
「……頭大丈夫か…………オレ」
「お主がかいっ!!!」
だってよ、もうこの状況に慣れてきているオレが怖いし!
それにこのトビラだって普通じゃないってことは感づいてるし!
そもそもこの状況をすんなり受け入れてるオレって人としてどうなの?
「あ~続きいいかの?」
哀れそうな声を出すな金属野郎!
「おほん。名前の通り、儂はありとあらゆる時空を司(つかさど)って、時空同士を繋げる仕事をしておる」
「時空同士を繋げる? 何のために?」
「崩壊を防ぐためじゃ」
「崩壊?」
トビラが言うには、世界は幾つもあり、世界同士が干渉し、相互破壊を侵さないように監視し、時には世界同士を一時的に繋げて、バランスを保つようにする。
そして、その役目をトビラが行っているという。
「ん? それってオレ関係無くね?」
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