異世界に来てしまった

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「あれ? もう世界は大丈夫なのか?」 「うむ、お主が寝ている間に魔力を頂き、世界のバランスを保った。もう崩壊は起こらん」  それは良かった。  未練なんてない地球だけど、破壊したらやっぱ困るからな。  ていうか、勝手に魔力を頂くなっての。 「それでじゃ、本題はこれからじゃ」 「……だろうね」 「ん?」 「だって、言ってただろ? あの少女を助けたいかって」 「……」 「つうことは、オレに助けられるチャンスがあるってことだろ?」 「ふむ、思ってた以上に頭も回るようじゃな」 「ま、賢くなけりゃ、今のオレはないからな」  闘悟は昔を思い出すように遠い目をした。 「……そうか。なら話は早い。闘悟よ、お主、異世界に住む気はあるか?」 「あるぞ」 「はやっ!!!」  トビラは驚愕の声を上げた。 「早くないか? 少しは考えたらどうなんじゃ?」 「いんや、考えるまでもねえよ。地球は助かったんだろ?」 「ん? う、うむ」 「だったらもう未練はねえよ」 「闘悟……」 「オレのこと、どこまで知ってるか分かんねえけど、あの世界には、オレの居場所はねえよ……もうな」  闘悟は寂しそうに言葉を放つ。 「なら、新しい世界で居場所を作ってみよ」 「……トビラ……」  闘悟は驚いたように目を見開く。 「お主なら……あの世界ならできるはずじゃ」 「…………おうよ」 「うむ。それと、餞別(せんべつ)じゃ。お主の能力を教授(きょうじゅ)してやろう」 「おお……まさに厨二的展開だな」  だけど、闘悟は胸のワクワクが止まらなかった。  自分に力が本当に隠されているなら知りたい。  あの世界で自分に何ができるか知りたい。 「では知識を流すぞ」  その時頭の中に情報が流れ込んできた。  時間にして数秒。 「……行けるかの?」  闘悟はゆっくりと、自信にあふれた表情で言い放つ。 「ドンと来い!」  眩い光が闘悟を包む。
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