序章~2009年12月。北の大地で……

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 歩道のあちこちに点在する山積みの雪。どこまでが歩道で、どこからが車道なのか、一面真っ白な地面は境界が曖昧だ。  初めて此処を訪れた時は、テレビで見た事あったけど、ホンマに人間の身長より高く雪が積もるもんなんやなぁ、と驚き、山積みの雪を見上げたものだが、もう慣れた。この地を訪れるのは今回で6度目だ。  本日12月25日、毎年この日は休みを取って、俺はこの地を訪れる。  念のために言っておく。なにも遠く離れた土地でたった1人、ホワイトクリスマスを楽しむ事が目的ではない。  12月25日。この日はある時を境に、俺にとって忘れられない特別な日になった。  俺がもう二度と夢に向かって歩けないのでは、と絶望に暮れていた頃、俺が再び歩き始めるきっかけをくれた友がこの地に住んでいる。
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