第3章~運次第! 赤いボールと緑のボール

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 緑。ハズレ! 嘘やーん! と、心で叫んでも、ボールの色は変わらない。 「後ろに」男スタッフが言う。「後ろに並んで下さい」  俺は茫然自失で、列の後ろに歩を進める。  俺は列の中段、割り込める場所を捜した。しかし、『ウィナーズサークル』エントリー争奪戦は膠着状態に突入していて、それぞれ皆、並び場所が固定され始め、割り込む隙間は見当たらない。  よし、無理矢理入ろう、と意を決し、列に割り込もうと肩を動かす。強い力で押され、俺は尻餅をついた。  見上げると、黒のタンクトップで肩にタトゥーの入った男が俺を見下している。 「見ん顔やな。KGS卒業したての『ウィナーズサークル』1年生か」 タンクトップにタトゥー、ドレッドヘアーも迫力満点の男は「後ろに並べや僕ちゃん。ズルしたら長生き出来んぞ」と続けた。  塚っちゃん、助けてー! と、叫びたいのを我慢して、俺は立ち上がり、別の割り込みポイントを捜す。  出遅れんのか! KGS卒業後、一発目の舞台、絶対出たい。気ばかり焦る。 「よっしゃあ、やったー!」と、前から威勢の良い声が聞こえた。
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