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「それで、嬉しすぎて」キラリがチキンバーガーにかぶりつき、咀嚼しながら、愉快げな表情を見せた。
「ボール盗んじゃう所だったんだ」
商店街内、ビルの2階にあるファーストフード店、窓際のテーブル2席が笑いに包まれる。
「ホンマに」俺は隣に座るキラリを一瞥し、左斜め前に座る藤川に視線を向けた。
「うちのツッコミは天然やわ。恥ずかしなる」
「ツッコミが天然」右隣のテーブルでメロンシェイクを啜るチャーキーの山田が不気味に笑った。
「うちの石原はしっかりしてる。藤川とは、全然違う」
山田の隣で石原が困ったような顔で頬を掻く。
「天然で女たらしか」チャーキーの対面に座る塚原が藤川とは逆方向を向いて吐き捨てた。
「油断ならん奴やな。藤川は。それで、あの子の気持ちも」
塚原の右手のコーヒーカップが揺れて、琥珀色の水面が波打つ。
「塚っちゃん落ち着いて」
塚原の右隣、ビビリー清正田辺が塚原の肩を擦る。
「藤川君、気にせんといてな」
塚原の左隣、ハーフ顔の井本が藤川を気遣った。
「なんやねん、もー」藤川がポテトに手を伸ばしながら、鼻に皺を寄せる。
「当たり球引いたの俺やのに、何? このバッシングの嵐は」
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