棘の鎧を纏う薔薇

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ホームに電車が滑り込んで来た。 女子高生軍団は………、 どうやら隣の乗車口から乗り込むようだ。 ……解放されたかな…。 でも私には、次なる試練が待ち受けている。 それは、揺れる電車内。 そもそも人混みは苦手だが、中でも同一方向へ、一定のリズムで動いている人混みが大の苦手だ。 初詣、祭りの出店、満員のバスや電車…。 背の高い私の視点が捉えるのは、黒い球体がゆらゆらと蠢く世界。 僅かに揺れる、無数の頭部を見続けることで、軽い目眩を起こしてしまう、つまり……酔う。 通勤ラッシュ時の電車内は、まさに拷問だ。 高校1年生の時には、すでに170cmに到達していた私。 拷問はこの頃から始まった。 そして、この状況から逃れるために切望したのが車の運転免許。 危ないから…と反対する父と兄を説得し、高校卒業と同時に教習所へ通うことを許してもらった。 家族の意向に背くことなく、素直に従ってきた私の初めての反抗とお願い。 それくらい電車が苦手だ。
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