10354人が本棚に入れています
本棚に追加
ホームに電車が滑り込んで来た。
女子高生軍団は………、
どうやら隣の乗車口から乗り込むようだ。
……解放されたかな…。
でも私には、次なる試練が待ち受けている。
それは、揺れる電車内。
そもそも人混みは苦手だが、中でも同一方向へ、一定のリズムで動いている人混みが大の苦手だ。
初詣、祭りの出店、満員のバスや電車…。
背の高い私の視点が捉えるのは、黒い球体がゆらゆらと蠢く世界。
僅かに揺れる、無数の頭部を見続けることで、軽い目眩を起こしてしまう、つまり……酔う。
通勤ラッシュ時の電車内は、まさに拷問だ。
高校1年生の時には、すでに170cmに到達していた私。
拷問はこの頃から始まった。
そして、この状況から逃れるために切望したのが車の運転免許。
危ないから…と反対する父と兄を説得し、高校卒業と同時に教習所へ通うことを許してもらった。
家族の意向に背くことなく、素直に従ってきた私の初めての反抗とお願い。
それくらい電車が苦手だ。
最初のコメントを投稿しよう!