棘の鎧を纏う薔薇

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大学へは車で通うことができたが、通勤はさすがに無理だった。 今の会社も都心部から少し離れているとはいえ、全社員分の駐車場は確保できない。 自家用車の使用が認められているのは、管理職と営業部だけ。 それ以外の部署は公共交通機関を利用、仕事で車が必要な場合は、社所有の営業車を使用することになっている。 私の所属は、建設部・デザイン設計課。 特別な事例と課長の許可がない限り、自家用車での通勤は原則禁止だ。 それでも遅番の時間帯なら、学生が少ない分まだマシだけど、今日みたいな早番は本当にキツい。 あぁ…今日もエイリアンの卵のような、黒い球体がゆらゆらと…… 「……つーか、ズルいっての!」 ……!? この大声、まさか……、 「モデル並みのスタイルで超美形とか、マジふざけんなって感じ」 「男、選び放題じゃん」 「かるーく玉の輿乗れちゃう?みたいなー」 軍団、同じ車両かよ!! てか、まだ私のこと引っ張ってるわけ? 間に大柄な男子高生が数人いるから、私の姿が見えないのだろうけど……いや、見えてても平気で喋るな、ありゃ…。 もー勘弁して下さいっ!!
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