棘の鎧を纏う薔薇

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女子高生言葉の「いもる」とは、今は「緊張してオドオドする」という意味で使うらしい。 打ち合せの際、お客様に同行していた高校生の娘さんから教わったばかりだ。 軍団の言う通り、本当にモテる女とは、見かけは守ってあげたくなるような、小柄で、華奢で、可愛いタイプ。 そして、芯は意外としっかりしているのに、好きな男の前では「いもる」…。 これが男心を擽る、真のモテ女。 まさにケータイ小説の主人公として君臨するタイプ。 対して私の立ち位置は、その主人公を容姿や態度で威嚇して翻弄し、最後はこっぴどくフラれて消え去るという、完全なる敵役。 実際にそうだった…。 あの人も、小柄で可愛い主人公を選んだ。 私は「元カノ」という位置に追いやられた。 脇役は、どんなに綺麗でも、どんなに性格が良くても、どう足掻いても、主人公には勝てない…。 今でもあの光景を思い出すと、息が苦しくなってくる。 あの人の背中に抱きつく彼女…… 腰から腹部にしか届かない、回した華奢な腕…… その華奢な腕を掴み、ゆっくりと身体を反転させるあの人………………………… ………… …… …
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