かりそめの恋人

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末っ子で、しかも母待望の女の子だった私は、公立の小中学校だった兄達とは別に、幼稚園から大学までエスカレーター式の私立校に通わされた。 記憶にはないが、「幼稚園お受験」経験者だ。 大半の生徒がそのまま系列大学へと進むなか、住宅や家具に強い興味があった私は、建築学科がある別の大学へ進学。 二級建築士とインテリアコーディネーターの資格を取得した。 サクラホーム独自の設計基準は本社在籍中に学び、実際の住宅設計は本店事業部に来てから叩き込まれた。 本店での最初の1年間は、先輩建築士のアシスタントとして社内でひたすらCADに向かい、設計に明け暮れる毎日だった。 サクラホームでは、特例を除き、建築士が直接お客様と打ち合わせをすることはない。 設計プランの窓口は営業担当者。 彼らがお客様の予算や土地の規模、建築条件などを総合的に判断した後に、具体的な設計プランの打ち合わせに入る。 設計プランがある程度まとまると、営業はそれをデザイン設計課に持ってくる。 設計課では、持ち込まれたプランの規模や難易度に応じて担当建築士を決める。 建築士はお客様からの要望が直接聞けない分、営業とのチームワークが重要になる。
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